2015年10月9日金曜日

彦根城内能舞台講演


 
 去る九月の二十七日、彦根市の招きで、彦根城内博物館に復元されている井伊家の能舞台(これは1800年(寛政12年)に築造されたものだが)で、能についての講演をしてきた。
 観世流の若手気鋭の能楽師、坂真太郎君にも助演を願って、『能舞台の神聖と不思議』と題して、私がまず能舞台という空間はいったいどういう意味を持ったところなのか、ということを概略お話し、つづいて、坂君に登場してもらって、能の所作、道具、謡いかた、音楽的組織、などなど実演を含めていろいろ面白く話してもらった。
 見所は200席ほどの椅子席で、これは博物館において新しく作られたものだが、当日は満席札止めの盛況で、みなさん楽しそうに聴いてくださった。
 この舞台は、御覧のように、橋掛りがほとんど45度の急角度で舞台に接続しているという古い形式をとどめている。しかし、現在はほとんど使われていないそうで、それはいかになんでももったいないなあと思った。せめて月に1回くらいは各流儀の演能でもしてはどうだろうか。