2014年11月3日月曜日

MIYABICA

去る10月19日、代々木の修養会ビルなるSYDホールにおいて、高牧康と東京ベルズの歌のコンサートが開かれた。
今回のコンサートは、このたび、ディスク・クラシカから新発売になった、彼らのCD『MIYABICA(雅歌)』のリリースを記念してのものであったから、CDに収められたすべての曲目を総ざらえに歌うというプログラムであった。
このMIYABICAというのは、私が新たに訳出した新訳日本語詩による外国曲(ちょっとエロス的な味わいがある歌ども)というコンセプトの謂いである。古いところでは、ダウランドやウィルビーの、あるいはジャヌカンやラッススなどの、ポリフォニックな重唱曲、新しいところでは、サン=サーンスやエルガーの合唱曲、さらには、高牧君自作の新曲など、まことに広いレパートリを包括するものである。もともと彼らは原語の演奏でさまざまの賞などを受けている実力派の重唱団であるが、このCDを制作するにあたって、ぜひ日本語に訳したヴァージョンで歌いたいという高牧君の熱い思いにこたえて、私は、あらゆる手練手管を尽くして、原詩に忠実でありながら、かつ聞き取りやすく、かつエロス的な艶があるようにと心を込めて訳詩を作った。
もともとアカペラの重唱団としては、日本有数の実力を認められているベルズの諸君のことゆえ、コンサートでは、この新しい日本語詩を縦横に歌いこなして、それはそれは見事な演奏であった。
このCDについては、下記のディスククラシカのサイトでご覧いただきたい。

 http://www.disc-classica.jp/lineup/takamaki_bells.html

ところで、その記念演奏会に、私はプロデューサの仙波知司さんと、ド突き漫才よろしく掛け合いの「解説」などすることになっていたのだが、なんと前々日くらいになって、高牧君から、どうしてもアンコールで一曲歌ってくれないかという要望が来た。それは困ると辞退したのだが、そこをなんとか、という重ねての要望もだしがたく、ついにこれを諾して、当日は、ダウランドの「Fine knacks for ladies」と、ヘンリー八世の「Pastime with good company」の二曲を彼らと一緒に英語で歌わせてもらうことにした。前者は、一番を私が独唱し、三番はアンサンブルで私はバスパートを歌う、ということで。また後者はかれらのアンサンブルとともに、私は旋律パートを歌うということにした。
写真は、そのリハーサル風景である。あまりに急なことで練習もできぬままの本番、私にしては珍しく緊張してしまった。ま、しかしそれもご愛嬌というものであったろうか。
どうかみなさま、このCD「MIYABICA」をよろしくお願いいたします。
(この日本語詩版の楽譜など出るといいなあ!)