2011年11月14日月曜日

レンコンの天ぷら

 次に、レンコンの天ぷらを作った。
 天ぷらは、あまり食べないようにしているのであるが、レンコンは、とりわけ天ぷらにすると旨いので、こればかりは作らずにはいられない。といっても、私の天ぷらは衣に味を付ける行きかたで、この衣は、小麦粉と冷水と、僅かの塩と胡椒で作る。卵は入れない。そしてレンコンは、しばらく酢水につけてアクを抜き、よく水気を拭きとってから衣に潜らせて浅い油で揚げる。そして天つゆは用いず、そのままサクサクと歯ごたえを楽しみつつ食べるのだ。
 聞くならく、嵐山光三郎さんは、末期(まつご)の食事に何を望むかと問われたら、レンコンの天ぷらと答える由、ああ、なるほどそれは分かるなあという気がする。こうして一センチほどの輪切りにして天ぷらにしたレンコンは、熱くて旨し、冷えて旨し、生ぬるくても旨し、とじつにどうも天下の美味なのだ。
 この天ぷらの背後に茶色いものが写っているのは、酒粕の天ぷらである。これが、またじつに結構なもので、とくに酒飲みの人はぜひお試しあれ。