2011年9月27日火曜日

嗚呼、秋!

 長く暑い夏がゆき、驚くような野分(のわき)が襲ってきて、日本中が水浸しになり、暴風に吹かれたが、さて、その後には、これぞ日本の秋、と詠(なが)めたいような、美しく快い日々がやってきた。
 これで原発から出る放射能がなかったら、どんなに気分は爽快だろうかと思うけれど、無責任な政府や官僚、金の亡者のような電力会社、そして志を喪った似非科学者たち、さらに、何も考えようとしない拝金老耄経営者たち、こんな善い秋の日に、それを無条件で楽しめなくしてしまったのは、誰か。この晴天のもと、のびのびと校庭の運動会を楽しめない子供たちに、ほんとうに申し訳ないと思わないか。
 それでも、秋の空は美しい。
 源氏物語を読んでいると、千年前も秋の空は美しかったことがわかる。
 ならば、千年後も、この美しい秋空を子々孫々に残さなくては、御先祖さまに申し訳がたたぬ。どうか、一日も早く、政治家たちが迷妄から覚めて、一致協力して原発をなくした立国をめざして欲しいと切実に思うのだ。
 首都高速を珍しく走った。そうしたら、こんな絵のような雲が、空を彩っていた。まるでルネ・マグリットの絵のような、不思議な空の景色。思わず、運転しながらパチリと一枚撮った。

2011年9月13日火曜日

料理の仕事

 きのうは、久しぶりにまた料理の仕事をした。今回は、雑誌クロワッサンの依頼で、簡単で美味しい料理ということで、秋らしい素材ということを意識して作った。献立は、
  煎り豚肉と枝豆とパイナップルの洋風ばら寿司
  セロリと茹で鶏と梨のサラダ
  茄子の味噌粕煮
  ジャガイモと豆乳とキノコのポタージュ
 まあ、こう書くといろいろ大変なようだが、料理そのものはいずれも簡単で、雑誌取材のための写真撮影などがなければ、全部で三十分もあればできる。
 どれもとても美味しくできてよかった。
 この料理は、来月発売くらいのクロワッサンにレセピを含めて詳しく出るので、乞う御期待!

2011年9月11日日曜日

稲童(いなどう)の月見


 きょうは北九州の行橋というところへ行って、講演をして戻ってきた。
 この行橋市は、大分県との境に近いところであるが、その稲童というところに、地元の画家原田脩の作品を展示顕彰するために、地元の有志がみなボランティアで力をあわせて作ったという美術館がある。
 ごらんのような、水田の豊かなところで、折しも豊年満作の稲穂が垂れ、そして中秋の名月を明後日に控えた、佳日であった。
 私は日本文学のなかで、日本人はどのように月を眺めてきたか、という話をした。よい海風が吹いて、心地の良い夕べであった。

2011年9月4日日曜日

謹訳源氏全巻朗読

 この十月三日から、東京エフエム系の衛星ラジオ局ミュージックバードから、わが『謹訳源氏物語』を、始めから終りまで、ぜんぶ私自身の朗読で読み切ってしまおうという、壮大な連続朗読番組がオンエアになる。ただいま、そのための録音を進めているところだが、これが言うは易く行うは難いのだ。一回の収録で四時間、ほとんど読みどおしに読んでいるので、さすがに声帯の耐久力が限界に近い。
 それでも、秋になってキンモクセイが咲く頃には、毎年私はアレルギーで声が出なくなるので、今のうちにできるだけ録り溜めをしておかなくてはならない。
 七巻以後を書き進めるのも、それはもう呆れるほど大変な仕事量なので、そのかたわら朗読をすすめるというのは、ほんとうに大変だと、つくづく思いながら朗読収録を進めているところである。
 この番組は、くわしくは「最新情報」のコーナーにデータを掲示するので、それをごらんいただきたい。ただし、この局はふつうのFM受信機だけでは聞くことがきず、専用のデコーダが必要になる。もっともローカルFM局にも配信するので、場所によってはそちらのほうでお聞き頂けると思う。ただし、ネット配信もするというし、また後日電子ブックのような形でダウンロード販売するという計画もある。当面は、ローカルFMまたはネット上でお聞き頂けるかと思うので、また詳しくはこのHPの告知をご覧いただきたい。