2008年12月7日日曜日

ジョナサン・ケリー

12月4日の夜は、楽しいコンサートに参加できて、有意義な一
夕となった。じつは私は日本ブリテン協会の理事、という隠れた肩
書きも持っているのであるが、その関係で、ブリテン協会主催のコ
ンサートに一役かったというわけであった。ブリテンの作品で『オ
ウィディウスの変身物語より、六つの変身』作品49,というオーボエ
独奏のための組曲作品がある。これはもともとギリシャ神話などの
変身物語をオウィディウス(英語ではOvidという)が編纂し
たラテン語のテキストから、ブリテンが六つの変身物語を選んで、
標題音楽的に作曲した、ちょっとした超絶技巧的作品である。が、
その各曲の冒頭に、ブリテンが書いた短い英文コメントがついてい
て、それを朗読して演奏するということが多い(らしい)。そこ
で、今回は、日本ブリテン協会主催ではあり、またこれが日英修好
150年記念年行事でもあるので、私が、古典語で日本語訳し、それを
英語の原文と、日本語の文語訳文と、二つ並べて朗読するというこ
とになった。で、そのオーボエを吹いたのが、ベルリンフィルの首
席オーボエ奏者のジョナサン・ケリーである。ジョナサンは、この
催しに賛同して、出演料なんか度外視して出演を快諾してくれたそ
うで、非常に熱演であった。彼はケンブリッジ大学の歴史学出身の
インテリで、典型的なオックスブリッジアクセントで話す。音楽だ
けでなく、人柄も、知性も、ほんとうに申し分のない、すばらしい
紳士である。だから、このコラボレーションはとても楽しかった。
ジョナサンも、楽しかったと言ってベルリンに帰っていったそうで
ある。音楽は、これだからよい。これも、ブリテンの遺徳というべ
きか。写真はリハーサルのあとで。